6m/10m デュアルバンドヘリカルアンテナの製作

2018年5月26日

以前、富山の局より頂いた6m/10mのデュアルバンドヘリカルを使用しておりました。
このヘリカルは、その富山の局がとあるOM局より頂いたものの、ご自分の車ではSWRが落ちなかったため、もしうまく使えたら使ってくれと言うことで頂戴しました。
私の車では6mはしっかりSWRが落ちましたが10mがちょっと下の方に同調していたようなので、銅箔テープを少しほどいてSWRを落として使っていました。

かつてこのアンテナで、走行中の10mFMにてハワイとQSOできたという実績があり、それが自信となってとても愛用しておりました。

しかし、昨年、急になにも聞こえなくなったためSWRを計ってみたらほぼ無限大。

見た目はなんの異常もないのでおそらくコネクターからの芯線の断線ではないかと睨んでました。

このためしばらくはこのアンテナが使えない日々が続いていましたが、やはりそれはちょっと寂しいので、まぁ、どうせダメならベースコネクターだけ外してこれをコピーしたものを作ってしまえ!ダメだったら10mモノバンドにしてしまえ!ってわけでコピー品を作ってみました。

コネクターをロッドから切断しして外してみたところ、案の定コネクターからのUEW線が断線していました。
おそらく振動による金属疲労だと思いますが、Φ0.8mmくらいの細いUEW線が使われていたのが原因かと思われます。
今回はこの芯線の部分に前回He-5号の製作に使ったΦ2.0mmのUEWポリウレタン線を使うことにしました。

まずはこれがオリジナルのものです。
すでにベースコネクターは外してあります。

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そしてこちらがマッチング部です↓。
逆向きで銅箔テープが巻かれてますのでHe-5がベースになっているのでしょう。

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そしてこれが6mと10mを分けるトラップコイルと思われます↓。
12回巻きのコイルにコンデンサー代わりの3.5D-LFVが20cmほど取り付けられています。

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これをふまえて、製作に挑みました。

基本的には前回のHe-5の製作と同じですが、6m用のトラップコイルが入ります。

オリジナルのトラップコイルは上でも述べました通り12回巻きのUEW線に3.5D-LFVが20cmほど取り付けられていましたが、手元には3D-2Vしかありませんでしたので、私の場合はとりあえずUEW線を13回巻き、3D-2Vを20cmくらい取り付けてみました。
とりあえずこの状態で共振周波数を調べますが、本来であればディップメーターがあればいちばん良いのですが、残念ながらディップメーターは持ち合わせておりませんので、アンテナアナライザーに1ターンコイルを付け、そこにこのトラップコイルを通してディップする周波数を調べました。
オリジナルでは52.5MHzくらいに同調していたので、私もそれに合わせ52MHz付近に同調するよう3D-2Vを少しづつカットし、結局12cmくらいの長さとなりました。

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マッチング用コイルはオリジナルでは幅3mmの銅箔テープが21回逆巻きされてましたが、私はHe-5と同じく0.8mmUEW線を23回逆巻きにしました。
これも調整するまではベースコネクター部へはビニールテープで仮留めしておき、調整完了後には丸形圧着端子でベースコネクターにビス留めします。
また、ヘリカル部はオリジナルでは6mm幅銅箔テープを1mmピッチで70回巻いてありましたので、私も同じ70回巻きにし、さきほど調整したトラップコイルを取り付け、そしてその上に10mに同調させるための銅箔テープを巻いたところ6mでの同調点が53MHzくらいとなってしまい、結局もういちど巻き直すこととなりました。

なお、先にトラップコイルまでの部分だけで6mのSWRを調整して、それから10m用のヘリカルを巻くほうが効率的だと思われそうですが、実はトラップコイルから先のヘリカルを取り付けてしまうと大幅に6mの同調点が狂ってしまいますので、結局面倒ですが10m用となるヘリカルも付けた状態での調整が必要です。

このあたりがこのヘリカルの調整のいちばん面倒なところでして、トラップコイルから上の銅箔テープのコイルを残しつつ、下側の銅箔テープを巻き直し、その都度銅箔テープをカットしたり継ぎ足したりして6mの同調点を探り出しました。

ただ、やはりできるだけハンダ付けする箇所は少なくしたいので、継ぎ足す部分の銅箔テープは3cmくらいの長さで二つに折り、先の方だけハンダ付けしてあとはできるだけ銅箔面同士を密着させるという方法をとりました。

しかし、トラップコイルの部分だけは調整の度に何度もハンダ付けしたり外したりしなければならないので、ここだけは仕方なくハンダ付けです。

最終的には、下からトラップコイルまでの銅箔テープは1mmピッチで86回巻き、トラップコイルから上の銅箔テープは1mmピッチで36回巻きとなりました。

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51.60MHz付近で同調していますが、熱収縮チューブを被せればもう少し低い周波数に同調するはずなのでここらで一旦調整は完了とします。

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10mも29.50MHz付近で同調してますのでこれで熱収縮チューブを被せれば29.30MHz付近で同調するでしょう。

マッチングコイルに丸形圧着端子を付け、ベースコネクターにビス留めします。

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圧着ペンチの向きは逆のほうがよかったですね。凹みが醜いです・・・。

熱収縮チューブを被せて完成です。

(なお、熱収縮チューブはアマゾンやRSコンポーネンツさんで入手可能です。私はRSコンポーネンツさんで入手しました。)

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最終チェック。

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51.10MHz付近でいちばんSWRが下りました。

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51.00MHzも全然問題ありません。

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10mも29.30MHzでぴったり下ってくれました。

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これも意外に広帯域、29.60MHzでもしっかり下ってます。

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29.00MHzのFM帯のバンドエッジでもほとんど問題ありません。

ちなみに・・・。

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さすがに1MHz下るとちょっと高めですが、それでも広帯域なのがよくわかります。

結果は、10m FMに関しましては、先のHe-5に比べるとSが一つ落ちるくらいということでした。
やはりトラップコイルやハンダ付けのロスがあるのでしょうか。
また、6m FMでは、市販の6m/2m/430の3バンドモービルホイップよりも良いというレポートを頂きました。

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全長1200mmでオリジナルよりも150mmほど長くなりました。

ピカピカ光る新しい銅箔テープに中間部にはコイル、これはもう職質まっしぐらなアンテナです。

 

職質上等!!!

 

熱収縮チューブ

 

10mFM, 6mFM, Antenna

Posted by JR0GFM