震災時におけるアマチュア無線の役割について
実は数日前から大震災等の非常時のアマチュア無線の役割について書こうと思っていたばかりだった。
以下、書きかけで下書きに保存していた文章から。
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携帯電話やインターネットなどの通信手段が数多くあるが、もし壊滅的な大地震が来たらこれらの通信手段はまず使い物にならないだろう。
・予想される事態
大停電
パラボラアンテナの向きがずれ、マイクロ波による通信回線遮断
携帯電話の基地局倒壊
輻輳や回線の遮断などにより一般電話が不通
等々・・・。
この状態で外部へ情報を送れる手段としてアマチュア無線がとても重要となる。
しかし、大停電が起こっていればAC100Vしか使えない固定局での運用は難しい。
ましてや大地震で家(シャック)やアンテナが倒壊してしまったら運用は無理。
頼れる手段として、まずは、電池で使えるハンディー機を使った430MHzなどのレピーターでの通信である。
しかし、レピーターも非常時に備えてバッテリーに切り替えられる局があるのかもしれないが、停電が続けばバッテリーもなくなるだろう。
また、大概のレピーターは山の上などに設置されており、冬などは雪で簡単にはメンテナンスに行けないこともあったり、メンテナンスそのものがされないままだったりする局もある。
(439.10MHzにあった輪島市(高州山)のレピータがそうだった。カーチャンクで反応はするが声が乗らない、そして今ではいつのまにか閉局してしまっている。かなり広範囲でアクセスできたのに非常に残念だ。)
これらレピーターを使った通信については、電話などの通信インフラが早く復旧するまでなら使えるだろう。
しかし、県をまたいだより遠くとの通信が必要となればHFである。
ただ、多くのHF機は13.8Vの安定化電源が必要だったり、中にはAC100Vでしか動かないものもある。
そこで、車でHFモービルをやっている局や、移動運用を主に行っている局が大いに役立つだろう。
また、最近ではFT-897などフィールド運用を想定してオプションのバッテリーで動かすことの出来る機種もある。
FT-817NDにいたっては電池でも運用可能だ。
ただし、出力はQRPとなるので、7MHzあたりで安定した通信をするためにはフルサイズのDPクラスが最低限必要であろう。
非常通信周波数の4630kHzが我々アマチュア無線にも認可されており、私もFT-817NDの5Wで(免許状は10W)運用可能である。
この周波数は和文CWのみ認可されているが、直接警察や海上保安庁等と通信できるというメリットがある。
毎日、朝9:00と夜20:00には通信テストを行っており、私も何度か聞いたことがある。
しかし、キー局によってはなかなか癖のある符号を打つ局がおり、「クンレン クンレン」と打つべきところがどう聞いても「クンリン クンリン」にしか聞こえないのだ。
私も最初は「君臨???」と悩んだが、よく考えると「クンレン」であることに気付いた。
お気に入りのバグキーかなにかをお使いだと思うのだが、大切な非常通信でこのような「相手に伝わりにくい」符号で通信を行うのはいかがなものかと思う。
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と、ここまで書いてあり、後日推敲しながらもう少し文章を書き足すつもりであった。
ところが、11日午後、とてつもなく大きな地震が東日本を襲った。
私はちょうど仕事で千曲市(旧上山田町)の現場での作業が終わった後で、帰ろうと車を運転していた時だった。
突然439.32MHzの美ケ原レピーターから「おーい、地震だぞー」という声が聞こえた。
広域レピーターなのでどこが地震なのかわからなかったが、確かに運転していてもデコボコした道を走っているような感覚で、送電線を見たら大きく揺れていた。
慌てて車を左に止めハザードランプを出してしばらく停車した。
揺れの時間がとても長かった。
すぐにNHKラジオ第一を聞き、情報を収集した。
携帯(Android端末)で自宅方面の震度などの情報を得ようとしたが、すでにネットは使い物にならなくなっていた。
帰宅するまでの間、情報が得られないことに苛々しながらNHKを聞いていた。
やはり被災地の通信インフラは使い物にならなくなっていた。
津波に飲み込まれた役所の庁舎もあった。おそらく防災無線・防災ラジオ等への放送も出来ない状態であろう。
7MHzでは7043で被災地の情報を集める局がボランティアで運用をしていた。
ただ、それに対する妨害や茶々を入れる局があり、聞いていて非常に腹立たしいものがあった。
後にJA7RL/宮城県庁局が開局し、7030にて運用を開始した。
主に各被災地から運用する局から、それぞれの被災地の情報や必要なものなどについて県庁を通して報告していた。
しかし、この運用についてもビート妨害する局がいたり、CWで「OFF BAND」と打つ無知な局もあったり、また、ひょっとしたら知らずに運用していたのかもしれないが、同じ周波数でPSK31で運用を始める局もいた。
災害時は7030などの各非常通信用周波数を開けておくということの周知徹底が必要ではないだろうか。
また、それだけではなく、7MHzや3.5MHzなどの国内と安定して通信できる周波数については、通常の通信は出来るだけ控えるようにし、言わばバンドそのものを非常通信周波数としてクリアにしておくのが理想であろう。
そして最後にひと言だけ言いたい。
「この大災害時に、そんなにカード集めが大切か!!!!!」
ディスカッション
コメント一覧
こんばんは、今日はいろいろ作業をしながら固定で7.030・7.043Mhzを聞いていました。
自分も、南アルプス市非常通信ボランティアのクラブに入っていて通常2mバンドを使用する事になっていますが、今回の災害を見てやはり7Mhzの通信は必要だと思いました。
今までは、7Mhzと言うと59QSLビューロのイメージでこんなバンドは自分には用は無いと思っていましたが、非常時には必要なバンドと思いました。
今後は、最低限交信出来るアンテナを用意しておく必要が有ると思いました。
そうですね、7と3.5は必要だと思います。
私も4630のアンテナについて検討中ですが、今のG5RVでも乗るようなら、これで4630の定時交信に参加してみようかと思います。
たまたまググってて発見しました。
439.32MHzの会員です。
当日の貴重な情報ありがとうございます。
本当は緊急地震速報をレピータで流すことができないかな…なんて考えました。
遅延の無いアナログ通信の利点ですしね!
スター様。
コメントありがとうございました。
大震災直後で何から何まで混乱した中で書いた文章なので改めて読むとあまりにもまとまりのない文章で恥ずかしい限りです。
439.32MHzの会員様であるとのことですね。
美ケ原レピーターはラジオ代わりにいつも聴いております。
おなじみ局ばかりなのでなかなか声を出す勇気はありませんが、ごくまれにCQとかを出させて頂くことがあります。
今の時期はなかなかメンテナンスが大変かと思います。
また、しょっちゅう落雷などがあるようで、その度に修理や機器交換されてるようで、会員皆様のご苦労をお察し致します。
今後も大切な通信手段の一つとして活用出来ることに会員皆様に感謝申し上げます。