「それだけ」の危険性

20年ほど前、物珍しさもあってか29MHz FMがちょっとしたブームになっていた。
HFで運用できるFM。モービル運用も楽しくコンディションさえ開ければ全国はもちろん海外局とも交信できる。
また、VHFに近い周波数なのでグランドウェーブ通信も面白い。
そんな魅力から、29MHz FMに出てくる人が多くなり、中には「29MHzオンリー」という人まで現れた。

我が0エリアにも29MHzオンリーの局が数多く存在した。

そして、数年後、ほとんど誰も出てこなくなった・・・・・。

自分はと言えば、元々飽きっぽい性格なので、29MHz FMが中心ではあったものの、28MHz SSBにハマったり、7MHz CWにハマったり10MHzでのDXにハマったりとそれらを繰り返すようにやっていた。
また時期によっては29MHz FMのアンテナを降ろしてしまったこともあった。

そして1997年頃だったか、28MHzの6エレ八木を上げ、「10mマン」を決め込み、28MHzでのDX中心にやって行こうと決意した・・・・・のだが、6エレ上げて一年後くらいから急激にアクティビティーが落ち、そして数年間にわたるQRTへの眠りについた。

再起のきっかけは、サイレントキーとなったJR0JMS久住君が夢に出てきたこと。
夢の中での彼は何も言ってなかったが、「おい、無線やろうぜ!」って言ってるように思えてならず、そう言えばなんだかCWやりたいって思い始め、そして無線機とアンテナ一通り揃え直して復活した。

そう、10m FMでもDXでもなく、「CWがやりたい」から。

結局今では29MHz FMもやってるけど、CWがメインになっている。
復活して数年経ち、和文のリハビリを続けているうちに、そこそこのスピードまで聞き取れるようになった。
あれだけハマっていた28MHzでのDXは・・・・・正直ほとんど興味がなくなっている。
いや、また後で興味が出てくるのかもしれない。

当時29MHz FMオンリーだった人たちが今はほとんど聞こえなくなったということを書いたが、同じように、例えば2m SSBにハマってタワー立ててでっかい八木上げた人もほとんどいなくなってしまった。
自分の知っている人では、タワー上げた直後に辞めてしまった人もいる。

思うに、「もっと遠くへ飛ばしたい」「人よりもっと強い電波を飛ばしたい」という思いからタワーを建て、アンテナを上げ、そしてそれに自分自身が満足してしまい、興味を失ってしまうのではないだろうか。
自分が28MHzの八木をあげた時がそうだったように。

でも、中には本当にそのバンドだけで長く続けている人もいる。
それはその人にとってその楽しみ方が本当に向いていると言うことなのだろう。

一つのバンド、一つのモードだけにこだわることに否定はしない。
その楽しみ方が本当に合っていて、その道のスペシャリストとなれれば大変素晴らしいことだと思う。

しかし、せっかく色々な楽しみ方のあるアマチュア無線である。
一通り楽しんでその中から自分に合ったものを続けるのも良し、私みたいに飽きたら他のモード、飽きたら他のバンドみたいにして行くのもいいんじゃないだろうか。

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Posted by JR0GFM