84m長水平ループ「Loop Skywire」アンテナの製作

HF用のアンテナをButternut HF9V → G5RV(ZS6BKW) → Butternut HF9V・・・と繰り返し、昨秋にはG5RV改造のW5GIアンテナを上げていましたが、どうもW5GIのSWRが高く、チューナーで落としたとしても飛んでる気がしない。
この約1年の間にいろいろとアンテナを検討した結果、ループ系、できれば全長84mの水平ループにしてみたらどうか?と思うようになりました。

この全長84mの水平ループですが、海外では「Loop Skywire」とも呼ばれているようです。

Skywire Loop Antenna (N1SU)

HORIZONTAL LOOP ANTENNA CONSTRUCTION(K5RCD)

The Delta Loop Skywire Antenna (DK5EC)

昔から私はヘンテナなどのループアンテナが好きで一時ハマってた時期がありました。
なにしろ10mが好きになったきっかけも、屋根の上に簡易的に上げたデルタループで、計算間違って寸法が違ってたにもかかわらず、余裕でDXに飛んで行って「10mってこんなにも飛ぶのか!」と感動したのが始まりでした。
もう三十数年前・・・・・。

ループアンテナと言うと、一般的には垂直に上げれば8の字指向性があり、水平にしたら真上に電波が飛んで行くという認識でした。
だから水平ループと聞くと打ち上げ角が高くて国内には良いかもしれないがDXには不利だとずっと思っていたのです。

しかし、どうやらそうじゃないらしい。

例えば84m長のループの場合、3.5MHzでは確かに真上に電波が飛んで行きますが、その整数倍の周波数を乗せるとだんだんと打ち上げ角が低くなるようです。

下記サイトは一辺が約132フィート(約40m)の四角形のループということで全長約160mの1.9MHz(1.8MHz)用のループについて説明されています。

Horizontal loopantennas (real and with mininec) (Rob’s web)

確かに、周波数が整数倍になるにつれて打ち上げ角も低くなってます。

そして、この動画が決定的となり、水平ループを上げることを決めました。

80mの水平ループと135フィート(40m)の水平ダイポールを比較した動画です。
いくら7MHz用のダイポールで本来マッチングの合わない14MHz以上の周波数を聞き比べてるとは言え、それにしてもLOOPとの差が大きすぎます。

こんなにスゴイの!?

また、これなんかはG5RVと40mのデルタループと比較した動画です。
ただ、デルタループは水平なのか垂直なのかは不明ですが。

明らかに信号がノイズから浮き上がってる!

他にも水平ループと他のアンテナの比較動画をいろいろ見てみましたが、水平ループのほうが概ね良好でした。

さて、84mにするか、それとも40m(42m)にするか。
我が家の敷地では40mループならば余裕で張れるのですが、84mになるとちょっと微妙。
給電部付近のワイヤーが我が家の屋根の上を縦断しそうです。
とりあえずやってみて、ワイヤーが大きく余るようだったら40mにしようかと作業を始めました。

用意したIV線は1.6mmの太さのもので、近くのホームセンターをいろいろ見て回りましたが、結局ネットで1mあたり54円という破格の品を見つけたのでそこから購入しました。

給電部ですが、解説しているサイトによっては「450オームのフィーダーで給電して直接アンテナチューナーに接続するのが良い。バランなど意味がない」みたいな説明もされているところもありますが、念のため4:1バランを作りました。

4:1バラン作り方についてはGoogleで検索するといろいろ引っかかってきます。

 

こんな感じでなんとか84mのワイヤーを張りました。
クリックで拡大します。

84m長水平ループ実は当初、実験もかねて給電部から直接450オームのフィーダーで室内のアンテナチューナーへ繋ぎました。
私のアンテナチューナーは並行型のフィーダーも接続できますので問題ないのですが、その状態でSWRを計ると、3.1MHz付近でSWRが1.1まで落ちたものの、その次の共振点がなぜか7.8MHzあたりになってしまい、いくらチューナーで落とすとは言え、ちょっと無理がありそう。そしてその上の周波数もなんだかおかしな周波数に共振していました。
おそらく横着してフィーダーを金属から離さなかったりしたのが原因でしょう。

結局念のため作っておいた4:1バランから5DFBで給電することになりました。

4:1バラン給電部

この状態でSWRを測定すると各バンドともいい感じに下ってくれています。
もちろんバンドによってはチューナーが必要ですが。
メインとして使いたいのが14MHzなので、当初13.8MHzくらいでSWRがいちばん落ちていたため、ワイヤーを数10cmほどカットし、14.05MHzあたりでSWRを落とすことができました。

アナライザーで見た各バンドのSWRです。

80m帯は3.6MHz付近でいちばん落ちましたが、3.5MHzでもSWR3より少し上くらいでした。

7MHzは7.13MHzあたりでいちばん下りました。

7.005MHz付近ではこんな感じです。

10MHz帯では10.35付近でいちばん下ります。

バンド内はこんな感じでした。

当初13.8MHzくらいでSWRがいちばん落ちてましたが、ワイヤーを数10cmカットして14.05MHz付近でSWRが落ちるように調整しました。

18MHz帯ですが、17.35MHz付近で同調してしまってます。

18MHzバンド内ではこんな感じに。
チューナー必須です。

21MHzでは割と高めの周波数で同調してます。
21.1MHzあたりでもSWR2.5くらいでした。

24MHz帯はバンド内でこんな感じ。
使えなくはなさそうです。

28MHzの同調点はこのあたりになりました。

29.30MHz付近ではこんな数値に。
まぁ、チューナー必須です。

SWR分布の詳細については後日改めてこのブログにてアップいたします。
(この記事を書いている今日は雨のため正確なSWRが測定できないため)

さて、結果です。まず上記のYoutubeでも紹介されているような、ノイズレベルが下り、信号が浮き上がるような現象ですが・・・・・残念ながらこちらでは体感できませんでした。
それどころか、以前使ってたW5GIアンテナやG5RV(ZS6BKW)あたりよりもノイズレベルが上がってしまいました。
まぁこれはだいたい想像はつくのですが、給電部付近が屋根の上にかかってしまうため、どうやら自宅からのノイズを拾っているのではないかと推測しています。
近々この屋根の上に張りだした部分をなんとか縮めたり引き回しを変えたりするなど、少しでもノイズレベルを下げるべくいろいろ実験予定です。

また、飛びの方に関しましては、2016年のCQ WW DXコンテストCWの結果をご覧頂ければと思います。

 

Antenna

Posted by JR0GFM